人事部の女神さまの憂いは続く
なんか仕事みたいなんだよな・・・。
一昨日、実家に藤木さんを連れて帰った時もそう。
「娘さんを下さい」的な場面があるんじゃないかと密かにドキドキしてたのに、そんな感動的なやりとりなんてなかった。
まぁ、電話で結婚したい人がいるって伝えた時から興奮気味だった母親が、藤木さんを一目見るなり
「まぁ素敵」
と言ってテンションあがりっぱなしだったせいでもあるんだけど。
結局いつものように母が一人で
「本当に、うちの娘でいいの?」
「もったいないわ」
「藤木さんの気が変わらないうちにさっさと入籍しちゃいなさい」
「お式はうちのこと気にせず、どこでもいいからね」
と話をまとめてしまったのだ。
その間も藤木さんは父にお酌をしたり、母の料理を誉めたりと、そつのない外行きの柔和な笑顔を見せており、すっかり両親も藤木さんがお気に入りになっていた。