人事部の女神さまの憂いは続く


「結婚したんだって?」

その日参加してたメーカーの新作発表のパーティーで久々に顔を合わせるなり、そう言ってきたのは懐かしい顔だった。

「久しぶりだな。まだ、仕事してたのかよ」

「今年から営業部に戻ったのよ。子どもも手かかんなくなったしね」

「そっか、子どももいるんだもんな。でも、旦那稼いでるんじゃなかったっけ?てっきり仕事辞めたのかと思ってたよ」

結婚式の2次会で見たこいつの旦那を思い出しながらそういうと、ふっと笑われる。

「まぁ、人生何があるかわかんないしね」

こういう何かを含んだような言い回しは変わってないな、なんて思っていると

「せっかくだし、ちょっと話そうよ」

受付ブースの近くにあるソファーを指さされる。

なつかしさもあって、あぁ、と同意してシャンパングラス片手に移動した。
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