人事部の女神さまの憂いは続く
「なに、うまくいってないの?」
聞くと
「うまくいくって、なんだろうねー」
はぐらかすような言葉が返ってくる。それにもやっとして
「子どもは?いくつ?男?女?1人?」
質問を重ねると、ぷはっと声をだして笑われた。
「なに、急に。私に興味でもでてきた?」
そう言ってイタズラ気な視線を向けてくる。それにムッとしたまま
「んなわけねーだろ」
吐き捨てると
「そうよね。崇は昔っから、私になんか興味なかったもんね」
ぽつりとつぶやいた。なんだかその横顔が憂いを帯びていて居心地が悪くなる。
「なんだよ、それ」
「なんでもない。でも、ほんと崇が結婚なんてするとは思わなかった。できちゃった?相手、どんな子?」
今度は明るい声でこっちに質問が返ってきた。なんでどいつもこいつも、俺が結婚したっていうとデキ婚だと思うんだ、とちょっと腹が立ちながら
「できてねーよ。お前とは違うの」
ちょっと強めに言うと
「私だって、好きでデキ婚ってわけじゃないし・・・」
小さめに反論してくる。