人事部の女神さまの憂いは続く

「へー、あの御曹司捕まえるために、計画的に仕込んだんだと思ってた」

思ったままを口にすると

「ちょ、やめてよ。ほんと、サイテーだね」

バシっと腕をたたかれた。その怒ったような顔が懐かしくて、ついつい悪ノリをしてしまう。

「みんな思ってたよ。御曹司で顔もよくって、あんな超優良物件なら、男いらないって言ってたお前が落とすのに必死になるのもわかるなって」

意地悪くそういうと、意外にもはぁ、と大きなため息を吐かれてしまった。

思いっきり反撃されると思ってたから肩透かしをくらったような気分で隣を見ると、バチっと目があった。じっと見つめ返してくる、その目には色が孕んでいて本能的に、やばいと思う。


だけど、どうやら遅かったようで・・・。

「ねぇ、久しぶりにしようよ。いいでしょ?」

膝に置いてた俺の手の上に掌を重ねて、耳元でそうささやいてくる。
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