人事部の女神さまの憂いは続く

ストレートに誘ってくるとこは変わんないなと思いつつ

「いいわけないだろ。お前、旦那も子どももいるんだろ。バカ言うなよ」

手を振り払うと、ふーん、と意味ありげな笑みを浮かべている。

「私はね、いいの。相性よかったじゃない、私たち。ねぇ、行こうよ」

ソファーから腰を上げて絡ませてくる細い腕を見ながら、こいつってこんなに空気読めないやつだっけって思う。

面倒だからこの腕を振り払って出ていきたいとこだけど、相手は久しぶりだとはいえ、同期で仲間内だ。

「なんだよ、欲求不満?旦那、忙しくて相手にしてくれないの?大変だねー」

ふざけたような言い回しをしながら腕をそっとはずすと、キッと睨まれてしまった。

はぁ、とため息をこぼすと

「いいじゃない。いっつも誘われれば、断ったことなんてなかったじゃない。それとも、子ども産んだような女は抱けない?」

尚も攻めるようなことを言ってくる。
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