人事部の女神さまの憂いは続く
「藤木さん?」
心配して声をかけると
「なんで俺、こんな最低とか鬼畜扱いされないといけないんだ?」
不貞腐れていらっしゃる。
「そりゃ、日頃の行いが悪いからじゃない?」
そう言う香織さんは、やっぱり楽しそう。
「で、そろそろちゃんと説明してよ。なんで急に結婚?プロポーズは?」
香織さんは藤木さんを見て質問しているのに、藤木さんは自分で話す気はないようで、あごでお前が説明しろというふうに指示をしてくる。
そこで姿勢を正して香織さんと立花さんに向き合った。
「あの・・・。おふたりの結婚式の後2人で飲んでまして。なんか話の流れで、そういうことになりまして。で、先週は藤木さんとこで、週末はうちの実家に行ってきて、って感じです」
そこまで説明すると
「はぁ!?」
やっぱり立花さんが声を上げた。香織さんと藤木さんは立花さんとは対照的に、はぁ、と溜息をついていらっしゃる。なんかおかしかったかな、と思いながらも焼酎で口を潤していると、おもむろにグラスを持っていた手を掴まれた。