人事部の女神さまの憂いは続く

「藤木さん?」

心配して声をかけると

「なんで俺、こんな最低とか鬼畜扱いされないといけないんだ?」

不貞腐れていらっしゃる。

「そりゃ、日頃の行いが悪いからじゃない?」

そう言う香織さんは、やっぱり楽しそう。

「で、そろそろちゃんと説明してよ。なんで急に結婚?プロポーズは?」

香織さんは藤木さんを見て質問しているのに、藤木さんは自分で話す気はないようで、あごでお前が説明しろというふうに指示をしてくる。

そこで姿勢を正して香織さんと立花さんに向き合った。

「あの・・・。おふたりの結婚式の後2人で飲んでまして。なんか話の流れで、そういうことになりまして。で、先週は藤木さんとこで、週末はうちの実家に行ってきて、って感じです」

そこまで説明すると

「はぁ!?」

やっぱり立花さんが声を上げた。香織さんと藤木さんは立花さんとは対照的に、はぁ、と溜息をついていらっしゃる。なんかおかしかったかな、と思いながらも焼酎で口を潤していると、おもむろにグラスを持っていた手を掴まれた。


< 35 / 399 >

この作品をシェア

pagetop