人事部の女神さまの憂いは続く

「あ、早かったですね。おかえりなさい」

ニッコリ笑う侑里の手元には缶ビール。そしてテーブルの上にはパソコンと、ツマミ盛り合わせ。いつも通りすぎる、その光景に苦笑いをしてしまう。

「お前、また晩飯くわずに飲んでるんだろ」

ネクタイを緩めながら適当すぎる食生活に文句を言うと

「だって、今日藤木さん早く帰ってくるって思わなくって。言ってくれたら、ちゃんと作ったのに」

ちょっぴり不貞腐れてる。

「そういう問題じゃないだろ。1人でもちゃんと食え。酒飲むのも、食ってからにしろよ」

「えー。そんなことしたら太っちゃうよ」

立ってる俺を見上げてくる顔が、酒のせいかほんのり赤い。

くそっ、今日もかわいいなって思っちまう俺は、本気で侑里バカなんだと思う。

「俺も今日食ってないから、なんかつくるけど。麺とごはんどっちがいい?」

着替えながら言うと

「んー、藤木さんが好きな方で。てか、お風呂入ってきたら?私つくるよ」

珍しい発言が。
< 355 / 399 >

この作品をシェア

pagetop