人事部の女神さまの憂いは続く

「まじで?」

「うん。たまにはちゃんと奥さんらしいことしないとね」

ハニカミながらかわいいことを言ってくる。侑里の口から発せられる「奥さん」って言葉が愛おしくて、かがんで侑里に口づけると、笑いながら返してくれる。

なんならこのまま抱いちゃいたいなって邪な考えがよぎったものの、大人らしく何度か唇を合わせてからチュっと音を立てて離した。

「どっちがいい?」

侑里が聞いてくるから

「それって、お風呂にします?ご飯にします?それとも・・・ってやつ?」

からかってみると

「もー、違う。ごはんか麺。ていうか、チャーハンかパスタだけど」

ポコっと胸元をたたかれるけど、ちっとも痛くない。

「じゃあ、パスタ」

くすっと笑いながら、そう返事をしてもう一度キスを落とす。すると

「もう、じゃあ、早く入ってきて」

身体を押し返されてしまう。新婚夫婦っぽい会話に一人でくすぐったくなりながら、奥さんの言いつけ通り、侑里の頭をグシャっと撫でてバスルームに向かった。
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