人事部の女神さまの憂いは続く
その⑩巧の憂い
「はい、これ。頼まれたんだよね」
「SIX PENCE?頼まれたって、だれに・・・・」
不思議そうに今手渡したものを見ながら呟いていたけど、自分で言いながら誰からかに気づいたようで、はっと息をのんでいる侑里。
「ほんとは、こっそり靴の中に入れといてって頼まれたんだけど・・・」
そこまで言うと、唇をかみしめながら、今にも泣きだしてしまいそうな表情になり、ギュッと掌の中のコインを握りしめている。
それを見て思ってしまった。
もしかして、まだ、侑里は・・・・