人事部の女神さまの憂いは続く

「ここと、ここと、ここ行きたいんだよねー。車予約してあるからさ、行こうぜ」

おもむろに社長さんに肩を組まれながら、タブレットの画面をスライドさせて見せられる。

えっと思いながら、崇兄さんを見るとニヤっと笑っている。

「運転なら、崇兄さんの方が」

振り返りながらそう言っても

「いや、俺は明日主役だからさ。今日は身体休めないと」
なんて言い始めた。

「えー!左ハンドルとか無理っす。てか、車線も違うんですよね」

文句を言っても

「大丈夫、大丈夫。なんとかなるって」

適当な感じで、大人の男2人に言いくるめられてしまった。


そして、左折で反対車線に入りそうになること2回、ウインカーとワイパーを間違えたのは数えきれないほど。なんとか最初の目的地についた時には、すべての精気を使い果たして、ぐったりだった。
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