人事部の女神さまの憂いは続く

グラスを一気に飲み干したかと思うと、急に私の腰に軽く回していた腕の力をぎゅっと強めた。それが苦しくって、うっとうめき声をあげていると今度は頭を掴まれて、くるっと藤木さんの方に向かされた。

「よく聞け。どちらかというと盛大に流されてノリで結婚決めてるのはお前の方だ」

わけもわからず、とりあえず掴まれている頭が痛いので、痛いです、と言って藤木さんの手を外すと、またため息を吐かれた。そこで

「ゆり、プロポーズの言葉は?」

香織さんに質問された。んー、とちょっと考えて

「お前と年取るのも悪くない・・・?あ、フジキユリにならないかって言われました」

答えると

「なーんだ、ちゃんと言ってるのは言ってるんだ」

楽しそうな香織さんの声が返ってきた。その横で立花さんはやっぱりまだ納得できていないようで

「ふじっきー、本気なのか?他の女どうしたんだよ?」

できれば聞きたくないようなことを言っている。


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