人事部の女神さまの憂いは続く

「そんなのいねーよ。女と遊ぶのなんて結構前にやめたよ」

でも、とまだ質問を重ねようとした立花さんを遮って藤木さんが口を開いた。

「俺がそんなノリで人生決めると本気で思ってんのか?」

不機嫌そうな口調で聞かれて考える。そういえば、いつも用意周到で世界は自分中心で回ってると思ってるだろう藤木さん。そんな迂闊なことはしないか、と思い至ったところで

「こんな俺様と結婚したら、苦労するよ~」

茶化したような香織さんの声。

そして、その声に触発されたのか立花さんが立ち上がって近づいて来たかと思うと、子どもにするように両脇に手を入れて立ち上がらされた。びっくりしていると、立花さんの背中に押しやられる。

「やっぱりニシユリは、やらん」

本当の父親にも言われなかったセリフが聞こえたかと思うと

「お前は、何者なんだよ。ニシユリは俺のだ」

藤木さんに腕を引かれた。


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