人事部の女神さまの憂いは続く
大事なことかぁ、と香織さんの言葉を噛みしめて
「藤木さんは私と結婚して本当に後悔しないですか?」
思い切って聞いてみると、座ったまま後ろからぎゅっと抱きしめられた。いつも家で一緒にいる時の恰好だ。意外にいつもベタベタしてくる藤木さんには慣れてきたけど、他の人もいる前だと落ち着かない。恥ずかしくて身をよじっていると
「やっとお前が俺の方向いてくれたんだ。後悔なんてするわけないだろ」
耳元でそう言われて全身の熱が顔に上ってきた。きっと私の顔は真っ赤だ。
「やっとって?」
後ろを振り向きながら問いかけると
「言ったろ?俺の中じゃずっと前からお前は女だって」
色っぽい瞳で言われたら藤木さんに触れたい欲求が込み上げてきて、振返って抱き着こうとしたところで
「ストップ!」
立花さんの鋭い声が飛んできた。
「もうちょっと見てたかったのにー」
文句を言っているのは香織さんだけど、今度は恥ずかしさが込み上げてきた。