人事部の女神さまの憂いは続く
「だから他の女なんていないって言ったろ。プロポーズした後だよ」
ぼそっと、めんどくさそうに暴君は言い放った。
それを聞いて、きゃっーと照れたようにしている香織さんと、その横で「まじか」と口を開けてる立花さん。どう反応していいかわからないでいると
「よし、ふじっきーの本気はわかった」
と言って立花さんは立ち上がり、ペンを片手に戻ってきた。そして証人欄を書き終えると、ほらっと香織さんにペンを手渡している。
とにかく2人とも納得してくれたようで、ようやくほっとして焼酎に口を付けた。
それからは
「いつ入籍するの?」
「結婚式は?」
「引越すの?」
という香織さんからの質問攻めにあった。