人事部の女神さまの憂いは続く
何が大丈夫なんだろうと思って首をかしげていると
「だって、社内じゃもっぱらあんたたち付き合ってるって噂だよ。ふじっきーがニシユリにぞっこんだって」
そういえばワタルが言ってたな、と思いつつも香織さんから発せられた”ぞっこん”って響きに照れていると
「まじか」とうなだれている藤木さん。
「だって、ふじっきー用もないのにしょっちゅう人事行ってるって。で、ニシユリが帰りに迎えに来るとデレてるって、若い子たちが教えてくれたよ~」
「まじで?俺の知らないとこで、そんな社内恋愛的なこと楽しんでたのか?」
「大輔、最近会社顔出さないから。でも、年末くらいから結構、噂だったよ」
そんなに噂だったんだ、と恥ずかしくなってると
「じゃあ問題ないか。俺、明日の部の定例で話すから、お前もそうしろよ」
やっぱり淡々と話を進めていらっしゃる。それがちょっと不満で膨れていると
「どうした?」
藤木さんが気付いてくれた。