人事部の女神さまの憂いは続く

「だってなんか仕事みたいなんですもん」

「いや、仕事の話だろ」

「そうじゃなくって。こないだからずっと。私だけ嬉しくって、藤木さんは粛々としてるなって」

ずっと気になっていたことを口にすると

「わずらわしい手続きなんてさっさと済まして、早くお前は俺のだって堂々と言いたいんだよ」

耳元でそう言われたら、何度も我慢したけど、もう限界だった。思いっきり振り向いて、藤木さんの首に両腕を巻き付けた。うわっと言いながらも抱き留めてくれる藤木さんが愛おしくて唇を藤木さんの顔に近づけたところで

「ストップ!」

再び立花さんに止められた。

「さすがにお兄ちゃん、ちょっとショックだから」

と言っている立花さんを

「過保護なお兄ちゃんですねー」

バカにしながらも頭を撫でている香織さん。

結局は

「イチャイチャしたいなら、帰った、帰った」

と追い出されてしまった。


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