人事部の女神さまの憂いは続く
「フジキユリになった感想とかないの?」
その質問に、あからさまに頬を緩めていてかわいいなと眺めていると、嬉しいです、と照れている様子。そうそう、そういうのが欲しかったんだと、ちょっと満たされた気持ちになっていると
「あ、でも。会社ではニシユリのままでいんですよね」
いきなり現実的な話に戻してくる。やっぱりお前の方が淡々としてんだよ、と思いながら
「いいんじゃない。フジキユリだとただの呼び捨てにしか聞こえないし」
と言うと
「まぁ、そうですよね」
言いながらも、何か不服そう。なんなんだよ、と思ってじっと見ていると
「藤木さん、ほんとに今日みんなに言うんですか?」
また昨日からの話を蒸し返し始めた。
「部会あるしちょうどいいって言ったじゃん。いやなの?」
「いや、ってわけじゃないんですけど・・・。何て言うんですか?」
「ニシユリと結婚したって」
それ以外どういうんだよ、と突っ込むと
「えー、でも絶対それだけじゃ済みませんよね」
ようやく不服の元らしきことを話始めた。