人事部の女神さまの憂いは続く

「今日は出先からそのまま来るって言ってたんで、そんな遅くなんないと思うんですけど」

と言ったところで、タイミングよくピンポーンとインターフォンが響いた。

そしてドアを開けに行くと、憮然とした表情の暴君がいた。なんでいきなり不機嫌なんだろう、と首をかしげていると

「お前、知ってたんだろ」

言いながら、ズンズン部屋の中を進んでいく。何だろう?と後を追いながら考えていると、

「ニシユリ、ビール!」

尚も不機嫌な様子でソファーにズンと腰かけている。とりあえずご要望通りビールを差し出すと、それをゴクゴク飲んで、またも不機嫌な声を出す。

「お前らも、知っててほってたんだろ?」

そう言いながら、立花さんと香織さんに目を向けている。香織さんは何の話なのかピンときたようで

「とうとう聞いちゃった?」

ニヤニヤしながら藤木さんを見ている。

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