人事部の女神さまの憂いは続く
「いいじゃん。ふじっきーも、チャラ男卒業したんだったら、そっちのキャラで行けば?」
香織さんはワイングラス片手にとんでもないことをサラッと提案している。
そのやり取りを眺めながら、考えれば考えるほど私が怒られるのが理不尽だという思いが募ってきて
「あの時、私はやだって言ったのにワタルの話聞いて悪ノリしたの藤木さんじゃないですか。怒るなら過去の自分を怒ってくださいよ」
冷静に反論すると、不機嫌さが増した暴君に片手で両頬を思いっきりつままれた。
「お前、よく俺の前で昔の男の話ができるな。しかも、ワタルって」
痛いです、とその手を外させながら
「昔の男の話じゃなくって、昔の藤木さんの話をしてるんです」
尚も冷静に言ってみると
「ふじっきー、やきもちやきさんだぁ」
バカにした口調の立花さん。