人事部の女神さまの憂いは続く

けど、それを聞き入れる気はないようで

「ダメだ。ニシユリ、来週からニシユリルックやめろよ。特集も、ニシユリ様じゃなくっても充分、美人だからいいんだ。今年は違うイメージで取り上げてもらう、でよくないか?あ、待て。久保メインだったらイケメン人事特集でも提案してやろうか」

1人でブツブツ呟いている。

「ちょっと、仕事にプライベート持ち込むのやめなさいよ」

香織さんが堪りかねて口を挟むと

「充実したプライベートあってこその仕事だ。持ち込んで何が悪い」

エラそうに言い切っている。

いや、実際副社長だし、エライんだけど、と引いていると

「うわー、どの口がそんなこと言ってんの。昔のふじっきーに聞かせてやりたい」

立花さんが心底嫌そうな顔をしている。そして、その横でため息をつく香織さん。

「なんか、もう何言っても無駄そうね」

香織さんの言葉にうなだれていると

「わかったなら、よし」

頭をわしゃわしゃっと撫でられた。
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