人事部の女神さまの憂いは続く
わかったわけじゃなくって、何言っても無駄だなってあきらめただけなんだけど、と思いながらも頭に乗せられた大きな手に心地よさを感じる。結局、この人の思いのままに物事が進むんだよな、と思いながら見上げると、優しい表情をした藤木さんと目があった。
この眼差しが好きだなと、頬が緩んでいると
「うわー、頼むからお兄ちゃんの前でイチャイチャしないで」
立花さんに突っ込まれてしまった。ごまかすように、えへへと笑っていると
「でも、ゆりが普通に戻ったからって噂はなくなんない気もするけどね」
香織さんがまた話を蒸し返す。せっかく、うまくまとまったのに、と恨めし気な目で見ていると
「なんでだよ?」
また不機嫌に戻ってしまった藤木さん。
「だって他にも色々あるもん。略奪説とか、初恋説とか、長年の切ない片思い説とか。まぁ、これはあながち間違いでもないか」