人事部の女神さまの憂いは続く

「えー、藤木さんまで。俺としては、ちょっといけてるかなって思ってたのに」

そう言いながら靴を脱いで、藤木さんの後ろについてリビングに向かった。

すると部屋をぐるっと見回して

「あれ、侑里にしてはいいもの揃えてるね」

似合わないと笑った仕返しなのか微妙に失礼なことを言ってくる。ムッとしていると

「だろ?ほぼ、俺が選んだから」

藤木さんまで、巧にのっかっている。確かに、ほぼ藤木さんチョイスだけど、と思っていると

「あ、そうだ。これ結婚祝い。いきなりで、まじびっくりだったんだけど」

言いながら手に持っていた袋を手渡された。

早速ビールで乾杯をし始めている2人を横目に、シンプルな箱を空けるとそこには陶器のグラスが2つ。

「うわ、これカワイイ!巧、ありがと」

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