人事部の女神さまの憂いは続く

丸っこいフォルムに、つるっとした表面。ほんのりピンク色のものとグレーっぽい色でペアみたい。手に取ると軽い。これは、焼酎飲むのにちょうどいいな、早速使っちゃおうとにやけていると

「気にってくれてよかった。陶芸専攻のやつに教えてもらって、俺がつくったんだ」

びっくり発言をする巧。

「まじで!?」

巧の前に座っていた藤木さんも気になったのか近寄ってきて、グラスを手に取って感心したように

「これ、売れるだろ」

言いながら、まじまじと見つめている。

「いや、微妙に形イビツだったりするんで売れはしないですよ。でも、いいでしょ?」

最後は私に向かってはにかんだ。

巧が自分でつくったものだと思うと、余計に嬉しさが増す。

「巧、最近忙しいっていってたのに・・・。
 ありがと。ほんとに嬉しい」

生意気な口ばっかりきくけど、やっぱりかわいい弟だ。
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