ピアスホールに君の熱
すると不意にレーくんの指先が私の耳たぶに触れてきた。
「なにお前、穴開けたの?」
「あー…うん。去年開けた」
「何で?」
「え、いや…何となく。ずっと開けたいと思ってたから」
「ふーん」
「ピアス、似合ってない?」
「いや、似合ってんじゃん?」
「そっか、良かった」
心の底からホッとした。
レーくんに似合ってないって言われたらどうしよう、なんて思ってなかなか言い出せなかったけど。
こんなことならもっと早く言っておけばよかった。
「そういえばお前、前に俺のピアス欲しいとか言ってたっけ」
「そうそう、よく覚えてたね?」
「あの時まだ早いって言ったらすげえ睨まれたしな」
「あれはレーくんが偉そうな態度だからムカついたんだよ」
「何だ、ピアスは関係なかったのかよ」
「全然まったく関係ない。
むしろ最初から貰えるとも思ってなかったもん」
「何だそれ」
レーくんがふっと笑う。
静かな部屋の中に私とレーくんの小さな笑い声だけが響いた。