ピアスホールに君の熱


さっきまで至近距離にあったレーくんの顔はいつの間にか離れてしまっていた。


「あのさ」


ようやく口を開いたレーくんはお酒のせいか、はたまた全く別の理由でか、その顔を真っ赤に染め上げている。


「俺、告白された?」


「…した」


「そう…か」


「…で?」


「は?」


「返事は?」


何よりもまず知りたいのは、それだった。


勢いだけとはいえ言ってしまったのだ。


フラれるのならさっさと終わらせてこの場を去ってしまいたい。


「大人に、なる方法」


「ん?」


「一瞬で大人になる方法、教えてやろうか?」


突然の問いかけに答える間もなく、気がついたら唇に柔らかい感触が伝わっていた。


レーくんにキスされているこの状況を掴むまでに数分。


ようやく理解できた頃には唇が離れていて、やけに熱っぽいレーくんの瞳がすぐ間近にあった。


< 14 / 18 >

この作品をシェア

pagetop