ピアスホールに君の熱
さっきまで至近距離にあったレーくんの顔はいつの間にか離れてしまっていた。
「あのさ」
ようやく口を開いたレーくんはお酒のせいか、はたまた全く別の理由でか、その顔を真っ赤に染め上げている。
「俺、告白された?」
「…した」
「そう…か」
「…で?」
「は?」
「返事は?」
何よりもまず知りたいのは、それだった。
勢いだけとはいえ言ってしまったのだ。
フラれるのならさっさと終わらせてこの場を去ってしまいたい。
「大人に、なる方法」
「ん?」
「一瞬で大人になる方法、教えてやろうか?」
突然の問いかけに答える間もなく、気がついたら唇に柔らかい感触が伝わっていた。
レーくんにキスされているこの状況を掴むまでに数分。
ようやく理解できた頃には唇が離れていて、やけに熱っぽいレーくんの瞳がすぐ間近にあった。