ピアスホールに君の熱
「れ、レーくん…」
「ん、なに?」
「キス、した?」
「したよ」
「大人になる方法?」
「んー…まだ、大人にはなれてねえかな」
そう言ってレーくんが困ったようにふっと笑った。
「でも私…今すごく幸せ」
だって、ずっと好きだったレーくんとキスができた。
こんなに近くでレーくんの笑顔が見られる。
幸せすぎて怖いくらい。
これが夢じゃないことだけを必死に願う。
泣きそうになるのを堪えてレーくんの瞳を見つめ返すと、また唇が触れ合った。
レーくんが何度も啄むようなキスを繰り返す。
するとレーくんの唇から生温かい感触が私の中に侵入してきた。
口内でうねるそれが、火傷してしまいそうなほどに熱い。
ほんのり苦いお酒の味と香りが伝わって、何だか大人なキスだなあと、頭の隅でぼんやり思った。