ピアスホールに君の熱
ようやく唇が離れた頃には、私の脳内はすっかりドロドロになって何も考えられそうになかった。
ただ目の前のレーくんの顔だけがやけにハッキリとしている。
いつの間にやら床に押し倒されてしまっていたらしい私は、見下ろしてくるレーくんが何を考えているかなんて分かりもせず無意識にふにゃりと笑っていた。
「お前さ…」
「ん?」
「無防備すぎだから。男に押し倒されて何で笑ってんだよ」
「だってレーくんと一緒に居られるの嬉しいから」
「………っ」
一瞬、言葉に詰まって、それからはーっとお酒の香りを乗せたため息を盛大に吐き出したレーくんはこれ以上ない呆れ顔だった。
「みかのくせに可愛すぎ…」
まるで観念したように眉を下げて、ほんの少し笑ってみせるレーくんにドキッとした。
「本当はずっと我慢してたのに…」
レーくんの指先が私の耳に触れる。
「このままみかのこと大人にしてやってもいいけど…どうする?」
甘い甘い蜜の中へ誘い込むように、レーくんが甘ったるい瞳で私を見つめる。
かああっと急上昇していく顔とは裏腹に、私の心はどこか期待していた。