ピアスホールに君の熱
レーくんの見た目はすごくチャラチャラしていたけれど、ピアスだけはなぜかいつも髪で隠れてしまうような黒い小さなモノをつけていた。
穴からぶら下がるようなものではなくて、ただキラリと耳元で控えめに光っていたそれが、私にはこれ以上なく綺麗なものに思えた。
一度だけレーくんに「ほしい」とねだったことがあったけど、「ガキには早い」の一言であしらわれてしまった。
今思えば貰ったところで穴を開けなければ付けられなかったのだから、本当にレーくんの言う通りだったわけだけど。
何度思い出しても、あの時のレーくんのふんぞり返ったような表情は腹の底から煮えたぎるものがある。
なんて、もう何年も昔の思い出に腹を立てたところで仕方ない。
だって私も、当時のレーくんと同じ歳にようやくなれたのだから。