ピアスホールに君の熱
テーブルの上に買ってきたばかりのお酒たちを並べていると、突然レーくんの携帯からけたたましい着信音が流れ出した。
「悪い、ちょっと頼むわ」
「うん、分かった」
その場から離れて電話に出たレーくんは相手と何やら言い合っているようだった。
「いや、一人じゃねえけど……どうすんだよ。一人も?薄情な奴だな。…うん。……は?ふざけんなよ。……仕方ねえだろ。今回だけだからな。分かった、じゃあ」
レーくんの様子からしてもあまり良い電話だったわけではなさそうだ。
「悪いみか。メンバー来れなくなったって」
「えっ!?一人も!?」
「何かみんな彼女と出かけることになったらしい」
「みんな彼女いるんだ…」
「みたいだな。ったく、あいつらが俺の家で打ち上げしようって言い出したくせに…」
「お酒、いっぱい買ったのにね」
「仕方ねえだろ…。
こうなったらやけ酒する、お前も付き合え」
「いやいや、私未成年なんですけど」
「んなことどうだっていいだろ。どうせ俺の家なんだから」
「さっきまで飲むなとか言ってたくせに…」
「何か文句あるか」
「…何でもございません」
こうしてレーくんのやけ酒タイムが開始した。