堅物男子と甘い恋
「気を遣わなくてもいいっすよ。もともと俺知ってたし。亜子が生徒会長の事好きだって。」
「知ってたのか。」
そこまで、知ってたなんて。
「まぁ、傍からみたら亜子は悪者で最低なことをしたんだろうと思うけどさ、でもそれだけ生徒会長のことが好きなんですよ、あいつ。
入学当初からずっと、片想いを続けてきたんですよ。」
どこか遠い目でそう言う加藤。
「なんで加藤くんは亜子ちゃんが会長のこと好きってわかったの?」
「それはーー」
加藤は一瞬口を閉ざしてから再び開いた。
「ーー俺はずっと亜子のことを見てるんです。それくらい、わかるよ。」
そう言う加藤の表情は見たことがないくらい泣きそうなものだった。