堅物男子と甘い恋
「今日はありがとうございました。」
森山駅につき、先輩に頭を下げる。
「…いや、大丈夫だ。気をつけて帰れよ。」
先輩はそう言って私に背を向けた。
「北野 舞花。」
先輩はポツリと私の名前を呼んだ。
「は、はい。って、なんで名前…」
先輩に名乗ったことは無い、はず。
「…言ったろ。俺は生徒の名前覚えてるって。転校生のおまえの名前なんて記憶に新しいから忘れるわけないだろ。」
それよりも、だ。
と先輩は続ける。
「大丈夫だとは思うが一応忠告だ。校則を破るな。もし破ったら容赦はしない。」
先輩はそう言ってスタスタときた電車に乗り込んだ。
もしも破ったらどうなるんですか?
そんな疑問だけが私の頭をよぎったのだった。