堅物男子と甘い恋
俺がそう言うと根島は少し驚いたように固まる。
「悪いけどさ、お前らが思ってるよりも俺、北野にベタ惚れなんだわ。
さっき見ただろ、北野が俺に鍵をもらいに来るところ。」
「え、あれってまさか。」
加藤はどうやら気づいたようだ。
「そうだよ。俺の家の鍵だ。本当はまだ地元にいる予定だったらしいが…無理やり俺が家に連れ込んだ。」
俺がそう言うと根島はフフッ、と笑った。
「そ、なんですね…舞花先輩が羨ましいや。」
「…根島、おまえはもう少し周りを見ろ。お前のこと、大切に思ってくれてるやつがいるはずだから。」
自分のことになると不器用な加藤。
いつか、加藤の想いが実って、ふたりが幸せになる日がこればいいのにな。
ひとりそう思った。