堅物男子と甘い恋
「でも同じ方面だからな。いつも森山で乗り換えをして帰るからさ。」
たしかに森山駅は乗り換えに使われることが多い。
「だから、一緒に帰ろう。な?」
いつものキリッとした表情、有無を言わせない視線はどこに行ったのか、
優しい目つきととろけてしまいそうなほどの甘い声の先輩。
ほんとに、疲れてるんだなぁ。
フラフラと歩き出す先輩にもう少し早く帰らせるべきだった、との後悔が生まれる。
私は寝ちゃったけど先輩は授業後からこの時間までずっと書類仕事してたもんね。
そりゃ、疲れるよ。
少しでも先輩の役に立てないか考える。