好きになれとは言ってない





 珈琲を飲みながら、航は、なんなんだ、あれは、と思いながら、遥を見送っていた。

 ありがたき幸せってなんだ? と思っていると、
「なに笑ってんだ、新海」
と前から来た同期の小堺が訊いてきた。

 自分の視線を追ってか、遥を振り返っている。

「いや、別に」
と言いながら、航は缶を捨て、自分の部署へと戻っていった。








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