好きになれとは言ってない
「課長、呑み過ぎですよ。
今日、まだ月曜なのに」
航と二人、駅まで歩いて帰りながら、遥は言った。
結局、小宮も来て、場所を変え、また呑んでしまった。
それにしても、この人、私を迎えに来たんじゃなかったのかな?
なんで私より呑んでんだ?
二次会では、ほとんど酒が口に入らず、遥の酔いは、すっかり冷めていたので、そのあと、散々呑まされた航との間に、随分テンションの差があった。
「俺はお前を迎えに行ったはずなのに」
「そうですねー」
「なんであんなに人増えてんだ。
もう今日のがコンパでいいんじゃないか?」
「そうですねー」
「お前、さっきから、そうですねしか言ってないぞ」
「そうですねー」
いや、酔っ払いにはこの程度の相槌でいいと思っていたのだが、意外と聞いてんだな、この人、と思っていた。