好きになれとは言ってない
 酔いをさまして来いと言ったら、気の迷いまでさまして来るしな、と渋い顔をしていると、その顔を見た亜紀に、
「ほら、遥。
 誰も思いつかないでしょ。

 いいのよ。
 あんたには期待してないから」
とすげなく言われてしまう。

 なにか部活の顧問に見放されたような気持ちになってしまった。

 私、もっと出来ます、コーチッ!
 見捨てないでくださいっ! 言いたくなる。

 よく考えたら、此処は見捨ててくれたのでよかったのだが。

「あ、でも、そういえば、すごいイケメン知ってますよ。
 亜紀さん好みに、ちょっと軟派な感じの」

 こらこら、遥、とまた典子にたしなめられたが、亜紀は身を乗り出してくる。

「ほんと?
 それ、どういう系統の顔?」

「それが、新海課長そっくりなんですけど」
と笑って言うと、

「却下」
とすぐさま言われた。
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