好きになれとは言ってない
「ええっ?
 なんでですかっ?

 ほんとにすごいイケメンで、課長と違ってチャラいんですよっ。
 いい意味でっ」

「いい意味でチャラいってなんなのよっ」

「いや、いい方なんですよ」
と言いかえてみたのだが、

「課長そっくりだなんて、幾らいい男でも駄目よ。
 緊張するじゃない。

 ってか、あんたそれ、新海課長の身内でしょーっ」
と言い当てられる。

「さすが亜紀さん。
 弟さんです」

「却下」

「なんでですかっ」

「っていうか、遥。
 もう大魔王様の身内に紹介されてんの?」
と朝子に言われ、

「いや、たまたまだけど」
と言っていて、ふとロビーの端に居た人が目についた。

 そうだ。
 あいつが居たな、とその人物に手招きすると、俺? という顔をしてやってくる。
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