好きになれとは言ってない
「亜紀さん、亜紀さん。
 程よくチャラくて、でも、小宮さんほどモテそうにないから、浮気しそうにないイケメンが此処に居ました」
とその腕を引いて紹介すると、

「お前、どんな人物評だ」
と文句を言いながらも、

「いつも貴女のお側に、今本真でーす」
となんの宣伝だ、という口調で、真は亜紀にアピールしていた。

 だが、
「莫迦なの?」
と立ち上がった亜紀に、

「既に知ってる奴は却下よっ。
 遥っ、今度のコンパに見たこともないようなイケメン連れてきなさいっ」
と命じられる。

「ええっ?
 見たこともないって。

 これ、一応、社内行事なんですけどー」

 目敏い亜紀さんが気づいていないイケメンなど居るだろうかなと思いながらも、
「わ、わかりました。
 社内を探してみます。

 どっかの棟の地下室にでも居るかもしれません」
と言って、朝子に、

「なにその座敷童」
と言われてしまった。





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