好きになれとは言ってない
「で、なんて返事したの?」
と問われ、

「いえ、返事もなにも。
 だって、課長の意志はそこにはないんですから。

 それに、真尋さんが止めてくださいましたし」
と言うと、亜紀が言う。

「ああ、課長そっくりなのに、小宮風にチャラいという」

 いえ、そこまでではないです。

「……会いたいものね」
と亜紀は、しみじみと言ってくる。

「大魔王様の親族なら、小宮ほど人でなしではないでしょう」

 いや……小宮さんも、そこまで人でなしというわけでも。

 私にとっての、神ですし、と思っていたが、余計なことを言うと、怒りを買いそうなので黙っていた。

「でも、あれから、なにかもう、いろいろと考えちゃって。
 さっき、課長に、昨日、親が言ったことは気にしないでくれ、みたいなこと言われちゃったし」

 ふーん、と亜紀は、また眉をひそめ、相槌を打つ。

「こう、思い詰めて、課長のまどかさんにお話を聞いて欲しいなあ、なんて」
と言うと、

「ああ、インコの」
と言ったあとで、

「ちょっとあんた。
 なんで、インコに話したいのよ。

 私たちはインコ以下?」
と怒られる。
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