好きになれとは言ってない
 ……やりそうだ。

 何処でも一大ハーレムを築く奴だからな。

 あの店も、たまたま平日の昼間に行ったら、おばあさんたちがたくさん居て、おばあさんたちのハーレムを作っていた。

 真尋の面白いところは、そういうご老人の相手も苦もなくこなしているところだ。

 如何にも、今風の若者なのに。

 まあ、もともとばあちゃんっ子だからな、と思う。

 あの店の開店資金も半分は祖母から生前分与としてもらったものだ。

「それにしても、兄貴は、相変わらずな感じだけど。

 好きなら好きって言わなきゃ伝わらないよ。
 特にあの通りすがりの古賀遥ちゃんには」

 なに言ってんだ、こいつ。

 俺が古賀遥を好きだとか。

 ないない。
 そんなんじゃない。

 女なんてめんどくさいし。

 ただ、ほんのちょっぴり、本の趣味が合いそうで。

 ほんのちょっぴり、顔が好みかもしれなくて。

 ほんのちょっぴり、話が弾んで。

 ほんのちょっぴり……
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