好きになれとは言ってない
「遥、明日は暇か?」

 はい。
 空けてございます、頼まれもしないのに、と思いながら、緊張のあまり、無言で頷く。

「そうか……」
と航は何故か溜息をついた。

 いけませんかっ?

 ……私、暇ではいけませんかっ?
とカップを握りつぶしそうになったとき、航が言った。

「じゃあ、明日、迎えに行くから。
 もし、お父さんたちも暇なら、一緒に来てもいいぞ」

 ええええーっ。
 なんでですかーっ、と思うその心をそのまま、近くに居た優樹菜が言っていた。

「なんでですかーっ!
 初めてのクリスマス・イブですよ、課長っ!」

 口を挟んでくる優樹菜に文句も言わず、
「そうなんだが」
と渋い顔をした航は、

「既に予定が狂っているからな。
 もうお父さんたちも一緒でいいか、と思って。

 一度、ご招待したかったし。
 お父さんも星が好きなようだから」
と言う。

「……星?」
と全員が訊き返していた。
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