好きになれとは言ってない
 今の感じだと、一緒に過ごすようだな、と微笑みながら見ていると、小宮が、
「あっちの店にしようよ。
 ほら、オムライスの美味しい店」
と言い出す。

「そこは、みんなが居るから、駄目っ」

「そうなんだ?
 みんな、そっちでパーティするの?

 じゃあ、一緒にやればいいじゃん。

 ねえ?」
と言いながら小宮は女子の群れに向かってやって来ようとする。

 相変わらずですね、小宮さん……。

 そんなこと言ってると殴られると思いますが。

 ああ、殴られた……と後ろ頭に亜紀のゲンコツを食らってよろける小宮を見ていて、航との話は、うっかり、そのままになってしまった。

 まあ、どのみち、断れる話ではないようだったが――。




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