好きになれとは言ってない
 


「そうか。
 そりゃ嬉しいねえ」

 家に帰った遥が、航の提案を父たちに伝えると、航が自分まで誘ってくれたことを父は嬉しく思ったようだったが、

「でも、さすがに、お父さんたちは遠慮するよ」
と言ってきた。

 クリスマス・イブだからのようだった。

「そうよ。
 航さんと楽しんできなさい」
と母も言ってくれるが。

 いやあの、お祖母さまたちと真尋さんまでいらっしゃるようなのですが……。

 いっそ、怖いから付いて来て欲しい、と思っていた。

 まあ、一応、航は少し挨拶して星を見たら、すぐに出るからと言ってくれてはいるのだが。

 お義母さんにはもうお会いしたけど、お祖母さまは初対面だから緊張しそうだ、と思う。

 どうも厳しい人のようだし。

 先に嫁に行った姉に注意点など聞きたいな、と思っていたのだが、こんなときに限って、ママ友とクリスマス会という名目で呑んだくれるらしく、来ていない。

 ……役に立たないな、姉。

 まあ、私の役に立つために、実家に帰ってきているわけではないだろうが――。



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