好きになれとは言ってない
 昔、映画で見た修道院の孤児院にこんな人が居たような、と思ってしまう。

 清乃は、笑っていないところで顔の固まっているような人だった。

 ひとつに纏めた髪に、細身の身体。

 黒いワンピースに骨董品のようなカメオのブローチをつけ、ショールを羽織っている。

 それでいて、時代遅れという感じではなく、品のいい感じがしたが。

 それはともかく、怖い。

 お行儀の悪い子のお尻を鞭で打っている姿が何故か頭に浮かび、すみません、と思った頃、航が清乃に紹介してくれた。

 遥も、
「古賀遥です。
 よろしくお願いします」
と頭を下げる。

 うむ、苦しゅうない、という感じで、頷かれる。

 タイプは違うけど、ちょっとお義母さまと似ているかも……。

 お義母さまに言ったら、怒られそうだけど、と思いながら、チラと千佐子を窺う。

 嫁姑は似ているというからな。

 ということは、巡り巡って、私とこの人も似ているということなのだろうか……?
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