好きになれとは言ってない
 いや、似ていない気がする。

 似ていない嫁姑とその姑は居ないというのなら、私は課長とは結婚できないということだろうか、とよくわからないことを緊張のあまり考えている間、頭の上では、航と清乃が話していた。

 清乃は頷きながら、こちらを見ているが、遥の耳にその内容は入ってはこない。

 側に来た真尋が笑う。

「どうしたの、遥ちゃん。
 猫かぶりというより、死んだ猫みたいになってるよ」

 そして、頼りになるはずの千佐子は、もう清乃と遥が顔を合わせたことで安心したのか、既に吞んだくれていた。

 ……お義母さま、次のパーティに行かれるんじゃないんですか、と結局、助け舟すら出してくれなかった千佐子を恨みがましく見ていると、それに気づいたらしい清乃が言ってきた。

「千佐子さんが、どうしても貴女のためについてくると言ったのよ。
 久しぶりにお友だちと会うみたいだったのに」

「えっ、そうなんですか?」

 そうなのよ。
 あの千佐子さんがね、と清乃は呟く。
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