好きになれとは言ってない
 この二人……。

 あの千佐子さんとか、あのババアとか。

 やはり似ている、と苦笑いしていると、
「千佐子さんが貴女を嫁と認めているのなら、私には、なにも言うことはないです」
と清乃に言われた。

 認めてなかったら、言いたいことがいろいろとあるのでしょうか、と思いながらも、
「ありがとうございます」
と頭を下げた。

 しかし、よく考えたら、課長からは、まだ、なにも言われていないので。

 私を嫁だと認めていないのは、課長、ということになりますね、と頭を下げたまま遥は航を窺う。

「航はやさしい子です。
 私の生前分与の金も、真尋の開店資金に貸したりして」

 あっ、しゃべったな、という顔をして、真尋が祖母を見た。

「えっ。
 そうなんですか?

 あー、でも、それであんな素敵な店が出来るのなら、それもまたいいことかもしれませんね」
と笑うと、真尋が、

「……大丈夫。
 そのうち、返す。

 そのうち返すから、遥ちゃん」
と何故かこちらに借金の釈明をしてくる。
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