好きになれとは言ってない
「……いつか大きくなってしまうから。
剥がさなかったんでしょうね」
と遥は微笑む。
普段日が当たらない場所なせいか、色褪せずに、今も鮮やかなそのシールを見ていると、実際には見ていない自分でさえ、幼い航と真尋がそれを貼っている姿が鮮明に浮かんでくる。
祖父母なら、尚更だろう。
つるつるして冷たい手すりから手を滑らせ、そこだけ手触りの違う、その古いシールに遥は触れた。
「今は小生意気でも、このシール見たら、なんだか許せちゃいますよね」
なにっ? と航がこちらを見る。
だが、
「……俺たちが此処に泊まるとき使ってる部屋があるんだ。
昔からなにも変わってない。
あとで見てみるか」
と言い出した。
「え?
いいんですか?」
「此処に連れてきたのは、子供の頃からの俺のすべてを知って欲しいと思ったからだ」
階段途中の遥を見上げ、航は言ってくる。
剥がさなかったんでしょうね」
と遥は微笑む。
普段日が当たらない場所なせいか、色褪せずに、今も鮮やかなそのシールを見ていると、実際には見ていない自分でさえ、幼い航と真尋がそれを貼っている姿が鮮明に浮かんでくる。
祖父母なら、尚更だろう。
つるつるして冷たい手すりから手を滑らせ、そこだけ手触りの違う、その古いシールに遥は触れた。
「今は小生意気でも、このシール見たら、なんだか許せちゃいますよね」
なにっ? と航がこちらを見る。
だが、
「……俺たちが此処に泊まるとき使ってる部屋があるんだ。
昔からなにも変わってない。
あとで見てみるか」
と言い出した。
「え?
いいんですか?」
「此処に連れてきたのは、子供の頃からの俺のすべてを知って欲しいと思ったからだ」
階段途中の遥を見上げ、航は言ってくる。