好きになれとは言ってない
エピローグ ~お正月です~
「やあねえ、お父さん、そんなこと航さんに言ったの?」
お正月、隆弘は遅れてくると言っていたが、あとは全員そろっていた。
そして、今日は母親の方が先に酔っていた。
だが、さすが主婦、酔いながらも、ちゃんと新たな料理を出してきたりしていたが。
私も立派な主婦になれるだろうか、と不安に思いながら、遥が母の話を聞いていると、
「結婚するまで手を出すななんて。
もう~、航さん、この人こそ、子どもが出来たから結婚した人なのよ。
ねえ」
と夫を見て言う。
その子であるのだろう姉が、ええっ? と声を上げ、父は赤くなって、咳払いをしていた。
……初耳です。
「自分のことは棚に上げてなんですか」
と妻に責められ、
「い、いや。
私がそうだったから、反省してるんだよ。
自分が娘を持ってみて、初めて、親御さんに悪いことしたな、と思ったから。
そんなもんだよ、航くん」
そう言いながら、誤摩化すように航に酒をついでいた。