好きになれとは言ってない
「この日曜に別れたばかりで傷心なんだ」

「この日曜に別れたばかりで、すぐ次に行くってどうよ」
と言うと、

「別れる随分前には終わってるんだ、気持ち的には。
 ま、彼氏も居ないお前にはわからんだろうがな」
と決めつけられ、いや、こんな私でも、一応、噂くらいは立つんですよ、と今度は自分から大魔王様のことを口にしたくなる。

「っていうかさ。
 なんでみんな、大魔王様のコンパに来たがるの?
 自分たちでやればいいじゃん」
と言うと、

「だって、あの新海課長が厳選したメンバーが集まるんだろ?
 なんか凄そうじゃん」
と真が言い、みんな頷く。

 変なとこで信頼感あるんだな、大魔王様……。

 っていうか、その信頼感あるはずのメンバーに私も入っているようなんだが、と思っていると、真が言う。

「だって、結婚前提なんだろ?

 それも、職場も退職って条件までついてるってことは、女的には職場を辞めてもいいかなって思わせる男を集めないといけないし。

 男側からしても、この女を一生養ってもいいかなって思う女を集めなきゃいけないわけだろ?」

「……なに私にプレッシャーかけてんの?」

 集めてんの、なんとなく私になってんだけど、と思ったのだが、何故か、真は朝子たちに責められていた。
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