好きになれとは言ってない
「でも、どうせ、大魔王様、コンパのときには居るよ?」

 確認してはいないが、居るのだろう。
 幹事のようなものだから。

 いや、まさか、そこも私に押し付けて、ドロンとか?

 それとも、お前など参加するに値しないと言われて、人だけ集めさせられて、私は入れてもらえないとか?

 いや、出たいわけでもないのだが……。

 でも、待てよ。
 参加するということは、大魔王様もその中から相手を見つけるということなのだろうか?

 そういえば、結婚退職、一人なら自分も引き受けられるとか言ってたしな、と思ったとき、航たちがこちらに来た。

 みんなの緊張するのが伝わる。

 周囲を見回し、
「なに呼んでんだ、古賀遥。
 席空いてないじゃないか」
と文句を言ってくる航を見上げ、

「なんでフルネームなんですか」
と問うと、

「いや、この間、遥と呼んだら、お前と付き合っているとかいう、あらぬ誤解を受けたから。
 人前では呼ばないことにしたんだ」
と言ってくる。

 いや、人前では呼ばないことにしたって。

 そのセリフの方が余計誤解を呼びそうなんですが、と思っていると、遥たちの後ろの席の営業部長が立ち上がった。
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